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あらちかじゃすてぃす!

何者(ネタバレあり)

 

阿部顕嵐の主演舞台を観てきた話。

 

 

遠い席だったからか、最初はなんだか少し引いて観ていたような気がする。正直、阿部顕嵐の飛躍に少しの羨ましさもあったと思う。でも、舞台が終わった後、心から拍手をしていた。阿部顕嵐演じる二宮拓人が大好きだった。

 

当時映画が話題になっていて気になったけど結局見なくて、原作を持っていたにも関わらず読んでいなかったパターンの私でしたので、顕嵐ちゃんのおかげでやっと原作読みました。全部舞台の役者さんの声で再生される(笑)原作を読んでみて、舞台では描かれていなかったシーンがまたさらに舞台の記憶にスパイスになって追加された気がしておもしろかった。舞台観終わってから読むのアリ。

 

舞台を見ながら1番感じていたのは、拓人のやさしさ。結果的には裏のある設定だったけれど、周りを思いやるやさしさ、自分だけ置いてけぼりになってることを認めたくなくて、本音を言えなくなっていったり。でも、それも実は周りを踏み台にしないやさしさの裏返しだったり、拓人自身の弱さだったり。顕嵐ちゃんの演じる拓人には、裏に何かあるような深さとか重みは感じられなかった。ただ焦るあまり、周りを俯瞰した気になっている自分にもちゃんと気がついている拓人だったと思う。

1番感情移入できたのは、人を信じることが出来なくて、周りには良い顔をして。時にはそんな子どもみたいな自分にも嫌気がさしてしまうような拓人だった。友達になれそう(笑)

そう。ついつい、周りをみては無い物ねだりをしてしまう。負けず嫌いなのかもしれない。自分の弱さ、自分で欠点だと感じるところ、不得意なところ、そんな本当の気持ちと向き合えないとき、うまくいかなくて逃げ出したくなるとき、ついつい他人の欠点や弱みを見つけて安心している自分がいる。きっと拓人だけじゃないはず。

ただ、個人的にはそのひねくれて子どもっぽい裏と周りにとても良い顔をしている表の落差がもっともっと欲しかったなんて偉そうに思ったけど、よく考えてみたらそんな差はいらなかったんだと思う。

汚い自分も間違いなく自分であって、他人にいい顔しながらも常に黒い部分も隣あって生きてる。リカに聞かれてすぐに携帯のパスコードを教えてしまうような素直でバカな拓人が、人間らしくて好きだった。

舞台中、顕嵐の表情から目が離せなかった。どこか物足りなく感じたのも、苦しいくらいに気持ちが伝わってきたのも、ほとんど表情からだった。顕嵐に初めて、繊細さみたいなのを感じた気がした。

瑞月さんといる時の拓人がかわいくてやさしくて、いとしくて仕方なかった。誰かを守りたいと願ったとき、あんなに弱々しくて、情けなくて、やさしい顔になるものなのだろうか。誰かを好きになるきもちには裏表なんてなかった。ただ、好きで大切で。俺も頑張るよ!と瑞月さんに伝えたシーン、好きだと言えない、言ってはいけない拓人の精一杯の気持ちに、わたしが拓人を抱きしめたいと思った。そして、ひとりぼっちの気持ちは、ひとりぼっちのひとにしかわからないのかもしれない。拓人の孤独も、瑞月の孤独もきっと種類は違うのだけれど。

 

拓人の中に、時々顕嵐ちゃんが垣間見えるときがあって。それはわたしの邪念でしかなかったのだけれど、顕嵐頑張って〜!って思いながら、気がつけば二宮拓人に引き込まれていて。

 

役を“演じている”顕嵐がとても好きだと思えた。たしかに、拓人が憑依していたと思う。黒髪は至高。あんなのうっかり一人暮らしの部屋に来たら困るよ…とよこしまな気持ちも忘れなかった(笑)

 

トンボを観たときには感じられなかった何か、阿部顕嵐の野望のような。目を離せばなりふり構わずどこまでも行ってしまうようなそんな姿に、頼もしくもさみしくも思う。目が離せない。阿部顕嵐だから出来ることをたくさん見つけてほしいし、どんどん掴んでいってほしい。

役者、阿部顕嵐として舞台に立っている姿は眩しく思えた。

 

 

 

また、追記していく。

 

 

 

P.S.あらちかが同時期に舞台であること、何回でも噛みしめる。本当に嬉しい。